都高美工研について

東京都高等学校美術工芸研究会とは、美術工芸についてより良い教育ができないかと日々模索する集まりです。

本ホームページでは研究会の活動や授業実践について公開していきます。

 

会長挨拶

都高美工研40年を前に

 会 長   佐  藤   清 親
東京都立総合芸術高等学校長

記録によると、本会は昭和49年(1974)に設立されたと考えられる。今年で38年になる。若い会員よりも年を経ているかもしれない。設立当初からの10数年間のメンバーは、ひとりが数役、そして順番に役割を替えるなど、かなり重複して役割を分担している。限られた人員で組織的に拡大していこうとした努力が窺える。

現在、研究部が主体となり、本会のホームページを立ち上げる準備を行っている。(平成23年12月現在)閲覧できるコンテンツの充実が求められるところであるが、遺産とも言える本誌40年分の中から優れた研究論文や授業の実践発表が会員に公開されると良いと思う。時代や価値観、生徒の状況が変わることで新たな対応が求められたとしても、教育には普遍的な部分がある。先輩たちが求めたのも、現在の私たちが求めているものも、生徒の人間としての成長であるのだから、時代性を感じるような教材においても、そこには普遍的な指導目標が存在し、現在の私たちが学ぶべき事も多々あると考える。

平成23年3月12日撮影

前年度の紀要が最終校正される頃に、あの3月11日を迎えた。編集部の落合先生から校正についてのメールが届いたのは、当日の午後4時半頃で、落合先生の書き出しは「たいへんなことになっています」であった。

誰もがきっと生涯忘れ得ぬ記憶として留めるのであろう東日本大震災を経験したことは、少なからずその後の私たちの気持ちや意思に影響をおよぼした。日常の営みを当たり前の如くに捉えていた現代人の驕りを、一瞬にして自然災害は覆した。学校で『訓練ではない避難』の夜を体験し、テレビや新聞でリアルタイムに惨状の激しさを思い知らされた。

当日、本校では映像の特別授業を行っていた。広い映像スタジオに美術科の1年生全員と舞台表現科の希望者が集まり、映像作家の小川王子(櫻時)さんや写真家の佐藤太志郎さん、音響等の技術者の方々、二人のダンサーの皆さんを招いて映像と音声、身体表現のコラボレーションのデモンストレーションを生徒と一緒に楽しんでいた、まさにその時のことであった。特別授業を中止とし、生徒たちを校庭に避難させたが、余震が続く中、暫くはどうして良いものか、前代未聞の規模に危機管理の判断基準すら私たちは失わざるを得ない状況であった。当日の夜は、帰宅不可能となった特別講師の皆さんが校長室で仮眠をとることになった。予定していた学年末の校外での発表会は実施不可能になるなど、教育活動に大きな影響がでた。その後、急きょ校内発表に切り替えて開催した年度末の成果発表会で、代表生徒が来場御礼の言葉の中で、「それまで当たり前のように学び、踊っていられることのありがたさを知らされた」と述べた。

あまりに特別な1年を経過しようとしている現在は、被災地も復興への道程を確実に進めている。

都高文連の中央展の開催においても、昨年度は特別な1年であった。東京芸術劇場の大規模改修工事が始まり、20年間も継続して同劇場の5階及び地下の展示ホールを使わせていただき開催していた同展覧会を別の会場で開催することになった。この間、場所と会期が定着し、年々加盟校や出品校が増加した。

来場者も毎年5,000人を超える盛況となった。

改修前の最後の演奏会は3月31日の夜7時から開催され、パイプオルガンの構造と音色の美しさに酔いしれた。開催に先立ち、福地茂雄館長が挨拶の中で、「震災後の今こそ、音楽や美術、演劇や舞踊といった芸術が持つ人々の心を癒すはたらきが大切なのである」と述べられた。改修では、私たちにもなじみの深い、あの巨大エスカレーターが撤去されると言う。演奏会後に、観客の誰もが乗り収めになるエスカレーターでエントランスまで降りると、福地館長や高萩宏副館長をはじめ、職員たちが一列に並び、観客たちを見送ってくださった。


平成23年3月31日撮影

中央展の会場は来年度から上野の東京都美術館になり、しばらくはここに定着する予定である。しかし、あいにくなことに、こちらも改修工事の最中であるため、今年度だけは他の会場を捜さなくてはならなかった。東京芸術劇場並みに、ある程度の規模や地理的な利点、経費等の諸条件を全て満点でクリアーできる施設を捜すことは困難であったが、都高文連美術工芸部門の前事務局長の河合茂晴先生と信濃町のアートコンプレックスセンターを訪問し、日程上全館を確保できること、都の高文連事務局が予算措置を約束してくれたことなどで決定した。

しかし、初めで最後の会場には総壁面積や小ギャラリーに区切られた造り、搬入路の事情など、開催までの課題は山積していた。

中央展実行委員会の準備も、例年とは比べ物にならない困難さがあった。特に壁面の割り付けには、これまでにはないご苦労があった事と思う。各校の顧問の先生方も生徒の引率は、いつもと勝手が異なりご不便をおかけしました。閉会式で各校の生徒たちが地下の展示会場に集まった状況には、筆舌にし難いものがありました。無事に開催できたのも実行委員会をはじめ、各校の先生方のおかげと存じます。

さて、平成23年度の本会事業も無事に終了させることができました。これもひとえに会員の皆様方のご協力に拠るものと感謝いたします。各事業の詳細に関しましては、事務局及び各担当部、担当者からの報告をぜひご覧いただきますようお願いします。研究会になかなか参加できなかった先生方にも授業実践の報告や検討などご自身の授業資料としてご活用いただけるものと存じます。

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