第3回  研究協議会レポート

第3回美工研

10月18日武蔵野美術大学新宿サテライトにて

今回は3人の若手(3年目)の先生方による「ICT機器を使った授業実践」の実践報告と「若手教員からベテラン先輩教員に聞きたいこと」とテーマした発表でした。

 
というテーマで3名の先生が発表してくださいました。

≪都立多摩高等学校 甲斐 健太 教諭≫



■ICTとは?

「パワーポイントを使った授業」が学校現場での活用方法である。
(前年度より、都立高校にはICT機器(プロジェクターやパソコンなどが入ったワゴン)が学級数分導入されている。)

■甲斐先生の取り組み

①ICTを使った授業展開(→94%の生徒がわかりやすかったと回答)
②授業中BGMを流す(→78%の生徒が意欲が高まると回答)



③教卓の位置を教室の真ん中付近に配置(→生徒の顔が良く見え、死角が出来づらかった)

■ICT機器を使った実践

①鑑賞

生徒作品をプロジェクターで見せる
長所:大量のイメージを一度に見せることが出来る
短所:実物にはかなわない

②手順を見せる

先生の制作行程を写真で撮り、プロジェクターで見せながら説明する。
長所:制作方法を説明しやすい
短所:生徒の反応が悪い(興味を持たない)
見本作品のイメージが強く、個性的な色使いが出来なくなる

     

③日本美術史

パワーポイントを使いながら美術史の授業を行う
長所:面白い概説が出来る。
大量の資料を見せることが出来る。
教員がiPhoneで撮った「綺麗だ」と思う写真を大量に使用できる。
短所:座学の授業っぽくなる。

~甲斐先生の工夫~

美術史では単に知識だけではなく、考えさせる授業にしたい。
特に「わびさび」の感覚を授業で伝えるにはどうすれば良いか、試行錯誤を繰り返している。大量の写真や文章をプロジェクターで映し、生徒たちに考えさせる授業を行なっている。

④実技指導

パワーポイントで映したデューラーの手の素描を活用し、作品制作を行う。

 

まとめ

自分がとった風景の写真などもたくさん生徒に見せることが出来、それを繰り返すことで教員の美意識が自然に生徒に影響を及ぼすことが出来る。ICTには未知の可能性がある。一方で、パワーポイント制作には時間もかかり、技術面でも研修が必要になるといったデメリットもある。不思議なことは、図を使いながら作業手順を教えても生徒達は理解をせず、意欲も持たず、先生を質問攻めにするということだ。本物と、バーチャルとの上手な使いこなしが今後大切になると思われる。

■参加された先生方の言葉

・ICT機器は70~80%の先生方が使用されている。
・ネットのセキュリティーは難しい。(新宿では独自のネットワークを使用しており、外部とつながらない様にしている)
・教員が楽しみながらICT機器を活用することで、生徒に良い影響を与えるのではないか。
・他教科などと情報交換にもなり、連携も取れるのではないか。
・高校時代の作品をポートフォリオにまとめることは美大に行ってからも重要である。ポートフォリオづくりを高校の間に指導すると、面白いものが出来上がるのではないか。
・以前テンペラの授業を行なった際、手触りなどで感動する生徒もいた。やはり、実物に勝るものなしだと思う。
・15分程度のパワーポイントを作るのにもかなりの時間が必要になる。毎回は時間的に厳しい。
・パソコンの調子が悪いときもあり、ICTにはトラブルが付き物である。例えば、デジカメをプロジェクターに繋いで手元の資料を見せる方法も効果的である。
・他教科との連携も良いが、美術独自の「感じさせる」という感覚を大切に授業すると良い。

≪都立東大和高等学校 瀬戸口 良太 教諭≫

■以前中学校の講師をした経験を活かして授業を行なっている。

①1年生には自画像や、アクリル画制作を行なっている。

 

②2年生には椅子制作を行なっている。

 

③3年生にはデッサンを行なっている。

④総合の授業では広告などの制作を行なっている。



~瀬戸口先生の工夫~

・評価には生徒同士の評価も入れている。(相互鑑賞を行なっている)
・チャイム着席をさせるために授業の最初に5分間クロッキーを行なっている。
・プロジェクターでワークシートを映し出し、穴埋めの回答に使っている。

~瀬戸口先生の悩み~

・鑑賞の評価はどうすれば良いか
・興味や集中力を持続させる方法はないか
・校内展示はどのようにすれば良いか(自分の作品が展示されると、下手な生徒は気にするのではないか)
・美術科として文化祭でどのようにアピールすれば良いか
・描写力を付けるにはどうすればいいか

■参加された先生方の言葉

〈描写力について〉

・描写力はコツを教えることが大事である。
・偶然性で遊ぶことも大事。
・最近の生徒は非常に描写力がある。(輪郭線を描いた時のバランス感覚は非常に高い)

〈作品展示について〉

・出来るだけたくさん行なっている。
・生徒は作品の善し悪しは気にしない様子
・事前に全員の作品を展示することを伝えておくと、意欲にもつながる
・展示すると、他教科の先生にも見えるので良い。
・褒め方も大事。

〈鑑賞〉

・必ず感想を書かせている。
・すべての課題で相互鑑賞・講評を行なっている。(自分はどこを見て欲しいかも表現させる)
・「カオスギャラリー」というスペースを設置し、作品展示を行なっている。(一週間ごとの予約もいっぱいになり、生徒の意欲も向上する)

≪都立狛江高等学校 奥田 陽子 教諭≫

■3年目になり様々な工夫をしながら授業を行なっている。

・オノマトペ(イガイガ・ピコピコなど)を使った授業展開や木版画の多色刷りやロゴデザイン、ハンドスカルプチャー、ミュージックスカルプチャー、立体ゾートローフなど、多種多様な授業を行なっている。

  

■「アクリル絵画」~描いたことのない方法で描いたことのない絵を描こう!~

一枚のキャンバスに4つの異なるマチエール(モデリングペースト・ジェッソ+砂・ジェルメデューム+布類・ボンド+紙 を使用)をつくり、その上に色を乗せる。

1回目 下地づくり

   
2回目 アクリル絵の具による着彩

 

     
3回目 着彩・完成



~奥田先生の工夫~

・松本陽子さんを参考にした
・TV番組で養老猛の話の中で「14歳の遺書には人間関係のみが書かれ、花鳥風月の意識がなかった」とあった。美術の授業で生徒の心を育むために工夫している。

~奥田先生の悩み~

・来年から芸術Ⅱの授業がなくなり、再来年から講師となる
・美術の授業を通して何を成長させるか
・いかに生徒の主体性を引き出すか
・美術部指導はどのようにすれば良いか

■参加された先生方の言葉

・美術の重要性をアピールするここで、美術Ⅱが復活した例もある。
・生徒作品の参考例をたくさん集めると、意欲が湧く。(教員の見本よりも生徒の見本が良い)
・美術検定を受けさせることで意欲につながる。

〈美術部について〉

・年間3回の公募展に出すことで意欲を持たせている。
・部長を育てることが大事。
・技法の講習会を行うと良い。

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